「クラウドアトラス」は女性ラナのはじまりにふさわしい壮大な愛の物語だと豪語する


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2013-07-10

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⇒ウォシャウスキー兄弟のひとりが性転換したと聞いたときは驚いた。当然ながら兄ローレンスがラナという女性になっていた。弟のアンディの方だったら?と怖い想像もしてみたが、しかし意外に女性らしかったローレンス=ラナとその横で微笑む弟アンディを見るにつけ、この兄弟のファンであるぼくとしては姉弟になったからといってなんら変わることはないことを改めて理解したのだ。

というわけで、当然ながら「クラウドアトラス」は必然的に観賞するわけだが、やはり必然は続くものでチラシやバンフレットに中沢新一の文章が載ってるあたり、もうぼくの世界観にぴったりハマる予感はあったけど、これはもうハマりまくりである。樋口真嗣くんがチラシでコメントしてたけど、実写版「火の鳥」という表現は的を射ていると思う。物語の中でも「カルロス・カスタネダ」の名前が出てくるあたり、ああやっぱりねって感じである。

この作品が6つの物語を同時進行で紡いでいく大掛かりな群像劇であることは最初からのアナウンスで理解したつもりでいたが、どのようにひとつの作品としてまとめるのか見当がつかなかった。伊坂幸太郎あたりが描く内容だったらどうしようと弱気にもなっていたが、しかし実際はとてもすばらしい作品に仕上がっていた。3時間があっという間というのは「ロード・オブ・ザ・リング」か「シンドラーのリスト」以来かもしれない。編集の素晴らしさはおそらく見ればわかると思う。これだけのまったく違うジャンルの物語をひとつの作品としてまとめあげたのは妙技という他ない。この作品が3時間を一気に表現できたのは、ウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァのマジックとしか言いようがない。「マトリックス」で魅せつけられたバレットタイムなどのVFXによる映像世界は少なくともぼくの中で大きな転換点となったのは確かだ。カルロス・カスタネダがドンファンの教えのもとで神秘体験をしていくのと、ある意味似たような体験だったのかもしれない。そういう意味では、マトリックスから連綿と受け継がれているものはジャパニメーションだけではないのだ。

そしてなにより、この作品のテーマが輪廻転生やカルマといった哲学的、宗教的テーマの中で、それでも愛という形にこだわったのは女性としてのラナの自己表現の何者でもないし、彼女が女として生きることの宣言をするための作品だったのではと勘ぐりたくもなるのでる。一流の俳優たちに年齢も人種も性別さえも異なるキャラクターを演じさせたのは、複数の性を抱え込んでいたラナの気持ちの表れにも感じられたし、そしてそれを愛というテーマでまとめあげたのはラナの女性性の象徴であると勝手に解釈するのだ。

このクラウドアトラスはぜひ愛する人と一緒に見てほしい。恋人でも親子でも兄弟姉妹、姉弟でもいい。そして見終わってお互いがやはり愛し合ってることを実感してほしい。そんな作品に仕上がっていると思う。それは何度も言うけどラナのおかげなのだ。

ところで、トム・ティクヴァについては実はまだどれも観ていないのでここではあえて語らないが、「ラン・ローラ・ラン」はきっとぼくを虜にする映画なんだろうなと勝手に想像しているのだ。これから観るのがとても楽しみである。

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